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その威力は大変なものです(笑)
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▼ 路地裏の整体術 第990号 2017年9月23日
▼ 踵の重要性と間接法
膝痛で通って来られている70代の女性が、急に痛くなったのでみてほしい、と言って来られました。
さっそく来られたので、どこが痛いのか、と尋ねてみますと、膝の裏側が突っ張る感じがするというお答えでした。
通常、こういう症状であれば、まず疑うのは、脛骨の前方転位(前にズレている)です。ところが、どうもそうではないらしい。
膝裏(膕、ひかがみ)からふくらはぎの方向に引っ張られる感じだという。となれば、私は踵を疑います。「末端に原因あり」という原則どおりです。
距踵関節(かかととその上にある距骨のつなぎ目あたり)の後ろを押さえて見ると、痛みが出ると言われる。
こういう場合、踵骨の方に痛みが出るよりも、むしろ距骨側に痛みが出ます。ということは、距骨が後ろにズレていることになります。
しかし距骨という骨は、筋肉の繋がらないベアリングの役割を持っている骨なので、これが後ろにズレているとなると、重心が後ろに寄っていることを示していると考えられます。
この場合、どうやって修正したらよいか。色々方法は考えられます。いままでこういうことをしたことがないとして、の話しですが、もちろん。
操法の時に、これまでやったことのない方法を採用しなければならないという場面に遭遇することは珍しくありません。その時に即興で案出しなければならない。
「即興で案出」などというと、不安を覚える人がいるかもしれませんが、操法というものは、本質的にそういうものだと思っておかなければなりません。出来合いの方法があって、それを適用すれば問題が解決するというほど甘くはない。
むしろ、相手の身体の状況は無限に変化のあるものですから、対応も当然、無限のバリエーションがあって当然です。一言でいえば、「諸行無常」。
というより、正確に言えば「諸法無我」でしょうか。世界のどんなものにも実体がない。どんなものにも「実体がない」というのは、操法の上でも重要な原則の一つだと思います。
で、どんな方法を採用するのか。
直接法(微圧法)なら、踵骨を動かないように固定しておいて、距骨を少しずつ前に押す方法が考えられます。
間接法(操体法)なら、距骨を後ろに引っ張っておいて、そっと離す方法でしょうか。
同じく間接法(共鳴法)なら、小指の第1関節掌側のところから、少し爪先方向に擦る方法。
こういう場面でどれを選択するか、という時に、その操者のセンスが問われます。つまり直接法が好きな人、間接法が好きな人、という違いがあるように思います。
ここで、「直接法」というのは、いわば車体のへっこみを叩いて直すような方法です。これは発想法としては一番わかりやすいでしょうが、安易にすぎ、事故を起こしやすい。特に力を直接歪みの箇所にかけてゴリっとやる方法。
「間接法」とは、へっこみを叩いて直すのではなく、へっこんでいるところを裏から余計にへこませる方法にそっと押すと、身体が反発して次第に直ってくる方法です。
こちらは事故の可能性が低いだけでなく、身体の自然性に従っていますから戻りにくい。同じく間接法でも共鳴法なら、患部に触ることもありませんから、もっとも安全性が高い。いわばリモート・コントロールですから。
さて話がもとに戻りまして、この時は、この女性の踵を正常にするのに共鳴法を使って行いました。これはテキストにも載せていませんし、講座でも話していません。いわば、即興で案出した方法ですが、それが奏功したことになります。
このようにして距骨の位置が改善しますと、膝の裏側のつっぱりが消失しました。ひざ痛を
踵で直したということになります。こういう場合もあるという例として、取り上げてみました。こういう意味でも、このような操法は「間接法」になっています。
つまり「間接法」という名称は、患部を直接さわらない、という意味と、患部とは別の場所に根本原因を発見して離れた場所から攻める方法、という意味も持っています。もちろん、さきほど書いたように、反対側から少し歪ませると直るという意味も含まれています。
重心がずれていると書きましたが、これはこれで大きなテーマなので、稿を改めて書きます。
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